昭和大学 講義・実習報告 「製剤化のサイエンス」2014
2014年5月19日~29日、当社より3名の社員を講師として派遣し、昭和大学 薬学部において講義・実習の指導を行いました。 | |
◎講義名:製剤化のサイエンス ーカプセル剤を学ぶー |
1.実習1―硬カプセルの構造と製造―
カプセル剤には、「硬カプセル剤」と「軟カプセル剤」の2種類があります。 薬物充てん前の硬カプセルは、キャップとボディが結合する部分にロック構造があります。また、大きさは8種類(日局)あり、精密に管理されて製造されています。 このような硬カプセル剤の特徴を知ってもらうため、空のカプセルを観察してもらいました。 |
|
◆学生による硬カプセルの観察 | |
硬カプセル剤の充てん薬には、安息角が小さく流動性の良いものが適しています。また、流動性の悪いものは、カプセル質量のばらつきにも影響を与えてしまいます。このため、流動性の悪いものには流動性を改善するために滑沢剤等を加えます。 そこで、3種類の充てん薬について安息角を測定し流動性との関係性について考察した上で、実際に硬カプセル剤を造ってもらいました。 |
|
◆充てん薬の安息角の測定 | |
最後に、出来上がったカプセルは質量偏差試験を行い、安息角や添加剤が質量の均一性にどのような影響を与えるか考察してもらいました。 | |
◆製造した硬カプセル剤の質量偏差試験 |
2.実習2―硬カプセル剤の性質と特徴―
硬カプセル剤の充てん薬は、一般的に粉末状・顆粒状ですが、錠剤・油状・懸濁状に調整される場合もあります。 市販されている4種類の硬カプセル剤を観察し、硬カプセル剤の種類や特徴、そして、充てん薬の性状や特徴について比較しました。 |
|
◆学生による市販硬カプセル剤の観察 |
3.製薬工場での服装基準体験
続いて、医薬品製造の際に着用する「クリーンウェア」の着用を体験してもらいました。 製薬工場では異物を混入させないために、服装基準が決められています。オペレーターは「クリーンウェア」や「マスク」、「手袋」等を着用することで、医薬品の品質を守りながら作業をしています。 また、医薬品の中には劇物なども存在するため、服装基準を設けることで、使用する医薬品の被害からオペレーターの健康も守っています。 この後の実習では、劇薬であるニフェジピンを扱ってもらうため、このままクリーンウェアを着用して実習を行ってもらいました。 |
|
◆学生によるクリーンウェアの着用体験 |
4.実習3―軟カプセル剤の性質と特徴―
軟カプセル剤は、有効成分を含む液状・懸濁状・半固形状の充てん薬を、ゼラチンなどのカプセル基剤で一定の形状に包みながら成型します。 軟カプセル剤の有効成分は、充てん薬中で溶解又は分散しており、充てん薬の消化管内での分散性を向上させるために、界面活性剤や乳化剤などを加えることもあります。 実際に市販されている4種類のカプセル剤を比較し、カプセル剤の特徴や構造、充てん薬の特徴などを知ってもらいました。 |
|
◆ 学生による軟カプセル剤の観察 | |
また、水に溶けにくい有効成分を用い、有効成分、分散性を向上させるための添加物を加えて製造した軟カプセル剤の分散性の違いを比較し、軟カプセル剤の製剤化の目的や利点を考察してもらいました。 | |
◆有効成分とカプセル剤の分散性観察 |
5.講義
最後に、講義として【カプセル剤の特徴や製造方法について】の解説と【医薬品の品質管理】の説明させていただきました。 【カプセル剤の特徴や製造方法について】では、上記の実習を踏まえ、カプセル剤の種類やその特徴、製造方法について、より詳細に解説させていただきました。 【医薬品の品質管理】では、医薬品がどのような基準や考えの下で製造されているかを説明させていただきました。 製薬工場では、高い品質の医薬品を製造するために必要な要件をまとめた基準である”GMP(Good Manufacturing Practice)に準拠し、医薬品を製造しています。 体験してもらった「クリーンウェア」の着用も、このGMPに準拠した一例です。 近年では、医薬品のグローバル化が進んだことで医薬品の品質管理の世界基準”PIC/s GMP”への準拠が求められつつあり、これからは、今まで以上に徹底した品質管理の下で医薬品が製造されることになります。 |
|
◆ 当社社員による講義 |
6.まとめ
種類と特徴、製造方法等のカプセル剤に関するの基礎的知識を知ってもらう為、実際にカプセル剤を手に取って実習していただきましした。市販のカプセル剤や充てんの観察が初めての経験で感動する学生もいました。 これからも、将来の薬剤師業務に役立つ印象に残る実習を提供できるよう取り組んでいきます! 昭和大学 薬学部の皆様、またお会いしましょう! |